


凍てつく野付の海を、黄金色に染める夕映え。その中を、一頭の牡鹿が悠然と歩いていました。
平均すると毎年2回ほどのペースで北海道に訪れている私ですが、なるべく行ったことのない場所に行こうと考えて地図を眺める時間もまた楽しいものです。とは言え、やはりお気に入りの場所からは心が離れません。
私が道東方面に強く惹かれるようになった最大の理由は、この神秘的な「野付半島」の存在が大きいのです。細く長く延びるその地形は、地図を見ていただければ、いかに特異で興味深い場所であるかが一目で理解できるはずです。お暇な時にでもぜひチェックしてみてください。
さて、このカットは野付ネイチャーセンターへ向かう途中の雪原で捉えたものです。「雪原」と書きましたが、ここは地図上ではまぎれもなく海。完璧に凍りついた海原です。吹き荒れる風が舞い上げる雪や砂が、夕焼けの光を浴びて黄金色に輝いていました。
牝鹿が群れで行動するのに対し、この牡鹿はまさに孤高。長く伸びた影を従え、悠然と歩く姿は、夕映えの中で一層そのシルエットが際立っています。換算390mmという距離でシャッターを切りましたが、かなり遠いにもかかわらず、こちらの様子を伺っているのがはっきりと伝わってきます。ファインダー越しに、しっかり目が合った、印象的な瞬間でした。
Location / Notsuke Hokkaido ,JAPAN
+CAMERA
-SIGMA sd Quattro H
-120-300mm F2.8 DG OS HSM

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