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もっともこれは耳じゃなくて脳の仕業ですね / バイノーラル録音

ひと月前に、西表・石垣に自然音を録りに行ってきました。直接自分の耳に小型の高性能なマイクをツッコんで録るバイノーラル録音です。自然音の録音に限って言えば、ステレオ録音よりも立体的に聴こえます。特にヘッドフォンで聴いたら素晴らしい音空間がたちあがります。立体的と言えば、サラウンドによる録音方法がメジャーかもしれませんが、いやいやどうしてどうして、バイノーラル録音も負けてませんよ。しかもこちらは聴くための特別なシステムも要りませんしね。

と言う事で、只今、その時の音をチェックしているのですが、これが実に素晴らしいのだ。どうやって、みなさまにお届けできるかも検討中です。やはりCDにするのが良いのかな? それともダウンロード配信でもオッケー? ご意見募集します。

さてココから、ちょいとマニアックなお話・・・

自然音を優れた機材で高音質で録ってきても、その時の感動は得られません。何故ならば、ニンゲンの耳は良く出来ていて、聴きたい音にだけフォーカスが出来ますが、録れタテの音には、予想外に余分な音成分が混じっています。ニンゲンの耳は、その余分な音にはフィルターをかけて、心地良い音だけを増幅させる能力があるのです。もっともこれは耳じゃなくて脳の仕業ですね。

なので、生音のままだと、その時の音空間とは別物に感じてしまいます。よってこの素材を、現場で感じた音空間に近付けるためにEQを駆使するのですが、実はこれが大事な作業なんですね。そしてここがウデの見せどころとなる訳です。

+撮影機材
-CANON 5D MarkⅡ
-EF50mm F1.2L USM

その時に感じた美しさを伝えたいからデフォルメした仕上げにしている

あたりまえだけど、似たような夕陽はあるが、ひとつとして同じ光景は無い。そして撮影テクニックもいろいろあるから、さらに違ったモノになる。いや、なっていい。あるがままに写し撮る、出力をすると言う言葉は不毛だと思う。人それぞれ感じ方が違うからね。そして銀塩でもデジタルでも、現像次第でテイストを大きく変えることが出来る。

よく撮って出しに拘り、命をかけているカメラマンがいるけど、私はそういう事には特に魅力を感じない。カメラの性能チェックならまだしもだ。もちろん、そういう写真に魅力を感じる人がいてもオッケーだ。いろいろ存在してた方が、より楽しいしね。

私の場合は、必要以上に美しく仕上げようと心がけている節がある。それはある種の確信犯的な行為ではあるが、その時に感じた美しさを伝えたいから、デフォルメした仕上げになっています。

仕上げをするにあたり、やり過ぎると気持ち悪くなるから、一歩手前で終わらせるのがミソだと思っている。ただ、その感覚も人それぞれだから、これをドギツイと感じる人も少なく無いはずだね。ちなみに、これはスローシャッターで10秒露光して、海を鏡のように表現しました。

さてこのショット、まるで絵のような仕上げですが、マジこんな色だったんだよ。と言うか、実際には、もっともっと素敵な夕焼けだったなぁ。この時の撮影風景は、さおたんのエントリーでチェック出来ます。上から4枚目の写真です。

+八重山の神様ありがとう。
http://saotan.jp/blog/archives/2010/07/post-180.php

子供のころから南への憧れってあるのは、こういう風景に浸りたいからだね。

夏の南国の空は実にドラマチックだ。モクモクとした積乱雲があらゆる表情を見せてくれる。これを見ているだけでも飽きない。その上、太陽光線がキョーレツなので、さらにドラマは展開される。子供のころから南への憧れってあるのは、こういう風景に浸りたいからなのかもしれない。

しかし住むとなったら、また違うのだろうね。

波の音だけでどんな場所なのか上げ潮なのか引き潮なのかがわかる

今回のヒットはこの海辺だった。これまた詳しくは場所を特定させない方が良いかもしれないので書けないが、地球交響曲第五番の出演者でもある、石垣金星さんに教えていただいた海だ。集落から山一つ隔てて辿りつける、とっておきの場所だ。ちなみに右下のmacを操っている人が石垣金星だ。

月ヶ浜は例の豪華リゾートホテルが建ってからというものの、すっかりメジャーな場所になって、今や観光客の途絶える間もない。そりゃあれだけのロケーションですから、絶好の観光地なのは言うまでもない。

さてこの海、何が素晴らしいのかというと、まず波の音だ。近くに集落があるというのに誰ともで合わない。しかも山を隔てているので人工音も届いてこないのだ。月ヶ浜に比べても穏やかな波で、バリエーション豊かで繊細な音を録ることができた。

最近では、波の音を聴くだけでもいろんなシチェーションが分かってくるようになった・・・かも。
例えば、岩礁なのか砂地なのか、珊瑚が細かく砕かれた浜なのか・・・。そして今回またひとつ発見して嬉しかったのが、上げ潮なのか引き潮なのかだ。何事も、集中して取り組むと、見えてくる、あ、いやいや、この場合、聴こえてくるモノの情報量が増えてくるんだよね。感覚が研ぎ澄まされてくる。これはおそらく誰にでも備わっていることで、興味があるかないかだけでも、だいぶ違ってくるんだよね。

さて今週金曜日にプラネタリウムでTINGARAのミニライブがある。ありがたい事に、久しぶりにもかかわらず満員御礼だ。今はこれに集中して、ベストのパフォーマンスをしたいと思う。それを無事終えたら、この宝石のような自然音の編集に取り掛かろうと思います。どうぞ、お楽しみに。

自然音を録る時、避けては通れないのが人工音だ。

西表島には、まだまだニンゲンが踏み込めない、いや、踏み込んではいけない場所が沢山ある。マングローブが豊かな生態系を形成しているこんな干潟もだよね。

そして今や自然音を録るの時、避けては通れないのが人工音だ。写真や映像なら、その部分を避ければ良いけど、音はそうはいかない。多少森へ入っても、意外と人工音は聴こえてくるのだ。しかし、この西表には、辛うじて人工音が届かない場所、時間帯が残されていた。

雲もしっかり夏の雲だね。

そうそう、石垣島でさおたんが撮影した天の川の写真が、Picasaのピックアップに選出された。オメデトウ!

ちょうど一年前に私が撮影したさおたんのポートレートも選ばれたことがあるから、これでモデルとしてもカメラマンとしてもPicasaに登場したという訳だ。快挙だね。ちなみに、この写真は8万ダウンロードもされていたよ。

国立天文台VERA石垣島観測所 電波望遠鏡

石垣島の於茂登岳の麓にあるこの電波望遠鏡は、直径20メートルという巨大なモノだ。
実はこの場所、目指して行ったわけじゃなかったのでした。その夜の天の川を撮りたくて、地形を見ながらロケハンしていたら、突如目の前に出現したのでした。ちょうどその直前に、友人からこの存在を知らされてはいたのですが、偶然の発見となりました。でもって、表から写真を撮ったり、その夜出現するだろう天の川の位置を確認したりしていたところ、ここで勤務するオネエさんに、見学も出来ますよと、お誘いを受けて、コントロールルームに入れてもらいました。そこで説明をしていただいたのが・・・

この石垣と岩手、小笠原、鹿児島のそれぞれの場所にある電波望遠鏡と連動すると、なんと直径2300kmの電波望遠鏡と同じ性能になるらしいとのこと。そして電波は可視光線とは違い、天候や太陽に左右されることが少ないので、多少の雨が降ろうが雲ろうが、年中、いや日中でも観測が可能とのこと。こりゃ、スゴイわ。で、何を観察しているんだろうね。

そして夜になり、来てみてビックリ! このように見事にライトアップされていて、とてもじゃないけど、天の川との同居は不可能。少し読みが甘かったです。慌ててロケーションを変更して、天の川はこちらで撮ったのでした。

そういえば、やけに楽しそうに写真を撮りまくっている某女子大の准教授がいたなぁ。なんでも、この形がたまらないらしい。動いている音も聞きたかったようだけど、ちょうど調整中だったみたいで可動してなかったのよね。何れブログでアップされるかと思います。

+まっちゃん酢 / 某女子大准教授
http://macchance.blogspot.com/