
山の春は、ゆっくりとやってきます。
平地では新緑が濃くなり始めている頃でも、標高の高い渓谷では、まだ淡く、
静かに息づき始めたばかりの春が、水の音とともに動き出します。
『春淡し、朧より』シリーズの第2回は「流」。
西沢渓谷(山梨県)のエメラルドの流れ。
深い森に囲まれた渓谷を、透明度の高い水が勢いよく流れ落ちる瞬間。
岩肌を滑るように、青緑の水が白く泡立ちながら下り、苔むした岩の間を抜けていく。
このエメラルドの色は、雪解け水と新緑の芽吹きが混ざり合った、春特有の淡い輝きです。
まだ木々の葉は薄く、陽光が差し込むと、水面が朧のようにぼんやりと揺らぎ、
流れ全体が柔らかく溶け合うような光景になります。
撮影はSIGMA DP1 Merrillです。
このカメラのFoveonセンサーが捉える色の階調と質感が、この渓谷の透明感と微かな動きを、まるで息づいているように表現してくれました。シャッタースピードを少し長めに設定して、水の流れを滑らかにぼかしたことで、朧のニュアンスがより強く出ています。
「流朧」は、シリーズの中で「静」から「動」への移ろいを表しています。
第1回の「水朧」が水面に静かに映り込む予感だったのに対し、ここでは春の息吹が、
音と勢いを伴って動き始めます。
まだ輪郭のはっきりしない春が、水の流れとともに、少しずつ実体を帯びていく……
そんな瞬間です。
Location / Nisizawa Vallery YAMANASHI, JAPAN
+CAMERA
-SIGMA DP1 Merrill

Island Gallery 企画展 / Spring Comes Early
会 期 2026年2月10日(火)-15日(日)
会期中無休 入場無料
open 11:00-18:30 / 最終日17:00まで
会 場 GALLERY ART HOUSE
104-0061 東京都中央区銀座4-4-5 籏ビル
協 賛 マルマン株式会社 Canson Infinity
主 催 Island Gallery
参加アーティスト (順不同・敬称略)

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