
山の春は、ゆっくりと、しかし確実に満ちていきます。 平地ではもう花びらが散り始めている頃でも、高いところでは桜がようやく開き、淡く優しい色を添え始める。 『春淡し、朧より』シリーズの第3回は「華朧」。
湖畔に広がる桜の枝が、水面にぼんやりと映り込む瞬間。
桜の花びらが淡いピンクに染まり、背景の森の緑と混ざり合いながら、
湖の鏡に溶けていく。
まだ葉が薄く、枝先が透けるような春の終わり近くの光景。
花は満開を迎えつつも、風が吹けばすぐに散りゆく予感を孕んでいて、
朧のように輪郭がぼやけ、すべてが優しく霞む。
この仕上げでは、琳派を意識して表現しています。 琳派の桜は、金地や大胆な構図で花を装飾的に描き、たらし込みの技法で柔らかな濃淡を生み出すのが特徴です。 本作では、写真の色調を調整し、花びらの淡いピンクと湖面の反射を、まるで金箔の上に散らしたような華やかさとぼんやりした余韻に近づけました。 尾形光琳の「紅白梅図屏風」のように、シンプルでリズミカルな配置を意識しつつ、桜の花が水面に溶け込むことで、琳派らしい装飾性と儚さを両立させたつもりです。
山間部の桜は平地より遅く咲き、だからこそ、この「最後の春」のような余韻を長く味わえるのです。
朧のベールに包まれた華は、触れれば消えてしまいそうな、淡い命の輝き。
シリーズの中で、「水」から始まり「流」で動き出し、そしてここで一度、春が華やかに満ちる。
でもそれは永遠ではなく、朧のように溶けゆくもの。
Location / Nakatsuna Lake NAGANO, JAPAN
+CAMERA
-SIGMA DP3 Merrill
Island Gallery 企画展 / Spring Comes Early
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Island Gallery 企画展 / Spring Comes Early
会 期 2026年2月10日(火)-15日(日)
会期中無休 入場無料
open 11:00-18:30 / 最終日17:00まで
会 場 GALLERY ART HOUSE
104-0061 東京都中央区銀座4-4-5 籏ビル
協 賛 マルマン株式会社 Canson Infinity
主 催 Island Gallery
参加アーティスト (順不同・敬称略)


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