春淡し、朧より「波朧」

春は、訪れたかと思うと、静かに溶けていきます。
山の遅い新緑から海辺の夕暮れまで、淡くぼんやりとした予感が、
少しずつ実体を帯び、そしてまた朧のように広がって消えゆく。

『春淡し、朧より』シリーズの最終回は「波朧」。
九十九里浜の海。
波が寄せては返す、ただそれだけの風景。
夕暮れの青が深まり、水平線がぼんやりと溶け合う瞬間。
水面はゆっくりと動き、波の軌跡が細かく重なり合いながら、無限のグラデーションを描く。
ここにはもう明確な「春」の形はない。
ただ、春が残した淡い青と光の余韻が、波となって永遠に繰り返されるだけ。

この作品は、ISOを8に落としてスローシャッターで撮影しています。
SIGMA fp L + 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsの組み合わせで、波の動きを意図的にぼかし、時間そのものをにじませました。fp Lの高解像センサーが捉える微かな青の階調と、超望遠レンズの圧縮効果が、波の遠近感を曖昧にし、すべてを朧のように溶け合わせています。シャッタースピードを長くすることで、波はもはや「形」ではなく「流れ」そのものになり、春の記憶が静かに拡散していく感覚を表現できました。

シリーズを振り返ると、「水」から始まり、静かな予感が「流」で動き出し、「華」で一度満ち、「光」で優しく照らされ、そしてここ「波」で、すべてが溶けゆく。
朧とは、春がはっきりしないまま、しかし確かにそこにあったことを教えてくれるもの。
山の遅い春、海辺の穏やかな余韻……すべてがこの波のように、淡く、無限に続いていく。
この5作品を通じて、春は「一足早い」だけでなく、「ゆっくりと、儚く、繰り返し訪れる」ものだと感じました。

朧より、春を待つ――そして、春はまた、朧となって戻ってくる。
グループ写真展『Spring Comes Early』で、ぜひ実物をご覧ください。
これまでブログを読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
またどこかで、朧のような春に出会いましょう。


Location / Kujukuri CHIBA, JAPAN
+CAMERA
-SIGMA fp L
-150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports


Island Gallery 企画展 / Spring Comes Early
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Island Gallery 企画展 / Spring Comes Early
会 期 2026年2月10日(火)-15日(日)
    会期中無休 入場無料
    open 11:00-18:30 / 最終日17:00まで
会 場 GALLERY ART HOUSE
    104-0061 東京都中央区銀座4-4-5 籏ビル
協 賛 マルマン株式会社 Canson Infinity
主 催 Island Gallery

参加アーティスト (順不同・敬称略)

 安斉紗織 / 平山孝一 / 荒井沙織 / 宿谷麻衣 / 鎌田光彦 / 石島英雄

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